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蒼い城
森と泉にかこまれて
静かに眠る
ブルーシャトー
あなたが僕を待っている
深くて寂しい
ブルーシャトー
(作詞 橋本 淳)
「ペレアスとメリザンド」の冒頭で
森の奥の泉のそばで
美しいメリザンドが泣いている
そんな場面を思い出す
今も
森の奥深くで
あなたが待っているきがする
君と同じ星空
やっぱり
星空のほうが好きだ
遠く離れてしまった君と
同じ雲を眺めることはできないけれど
君がもし今空を見上げたなら
同じ星がみえるだろう
遠い遠いあの星は
たとえ
僕たちが何万光年離れても
かすかに
つながってると思えるヒカリをはなつだろう
終電
けだるい終電の中
僕はイヤホンから聴こえる
音楽に身をまかせ
半ば、眠ったような状態で
つり革をにぎっていた。
いつもと同じ
面白くもなんともない風景
時折、感じる酒臭さとおやじ臭。
少し頭痛も感じながら
僕は
はやく家に帰りつきたい気持ちで
いっぱいだった。
けれど、
何だか違和感を感じて
周りをみまわす。
僕の視界にはいったのは
僕の立つところから少し左に座った
男の子だった。
え?
なぜ、こんな時間に…。
1、2年生くらいの。
幼稚園ってこともなさそうだったけれど、
かなり小さい男の子。
その子の周りを少し見回したけれど
親と一緒、という風でもない。
離れて座ってるのかも
とも思ったけれど。
それに、僕以外の誰も
その子が目に入っている様子もない。
さほど、気にならないらしい。
僕がよっぽど驚いて見てしまっていたのか
その男の子と目があった。
あわてて、目をそらしてしまった。
そして少ししてから
もう一度、その子のほうを見る。
その子と再び、今度はしっかりと
目が合ってしまった。
その子がニコリと笑う。
僕はどういう表情をしていいかわからず、
笑ったような
困ったような
しかめ面なような
へんな顔をしていたと思う。
僕はその子がここにいる理由を
いろいろ考えた。
きっと、たまたま
こんな時間に電車に乗ることに
なったに違いないけれど、
いい理由を思いつくことは
できなかった。
その子は、僕の降りる駅の
一つ前の駅でおりていった。
降りる時、
その子がもう一度僕を見て
ニコリと笑った。
今度は、さっきよりは
僕もニコリとできたような気がした。
その子は
何ももっていなかった。
同じ駅で何人も大人が降りたけれど、
その中の誰も
その子の親ではなさそうだった。
何だかヘンな気持ちのまま
僕も次の駅で降りた。
そのあと
なんどかその男の子のことを
考えた。
あんな時間にどうしたんだろう。
なぜ、あの子は笑ったんだろう。
僕はちゃんと笑えただろうか。
やっぱり、
何もわからないままで、
ただ、漠然と、
あの子が今、誰かのそばにいることを
僕は、願った。
秋の歌
ヴィオロンの
節(ふし)ながき啜泣(すすりなき)
もの憂き哀しみに
わが魂を
痛ましむ。
時の鐘
鳴りも出づれば
せつなくも胸せまり
思ひぞ出づる
来(こ)し方に
涙は湧く。
落葉ならね
身をば遣(や)る
われも、
かなたこなた
吹きまくれ
逆風(さかかぜ)よ。
ポ-ル・ヴェルレーヌ(堀口大學訳)
僕の好きな詩のひとつだ。
ちょっと今の季節にはそぐわないけれど、
チャイコフスキーの「感傷的なワルツ」を聴くと
なんとなく、この詩を思い出す。
ヴァイオリンの響きが
すすり泣いているようで
ワルツなのに
なぜこんなにも悲しく踊っているのかと
胸が痛くなる。
ひとりで踊っているのか
それとも
想う人が誰かと踊っている姿を
眺めているのか。
遠くから
想っているだけなのかもしれない。
世界の消失
君のいない世界なんて
誰もいないのと同じだ
そう僕がいったら
そんな考えはあなたの周りの人に失礼だわ
と君がいった
そうかもしれないけど
そんな答えをききたかったわけじゃなかったんだ
僕はもう一度口にする
それでも僕には
君のいない世界なんて
誰もいないのと同じなんだよ
君を好きになった瞬間から
僕の世界はずいぶんせまくなった
すべてが君につながっていく
すべてが君にしかつながらない
ほかの世界はどこへいってしまったのだろう
まるで絶滅してしまったかのように
消えてしまった
いっそ本当に二人しかいない世界だったなら
けれど
君には僕のまわりの灰色の世界が見えはしない
君が僕のとなりで笑ってくれているのに
僕はもう泣きだしてしまいそうだ