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真昼の月

僕の記憶
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  • 05/05/00:23

毎日、ちょっとは、ゆっくり空を眺めるのが、僕の日課。
朝の空も、昼間の空も、夜の空も、同じ表情をみせることのない空は、ほんとあきない。
っていうより、時間を忘れさせる。
ほんとは、だだっぴろい草原に寝そべって、ひたすらに空を眺めてたいなぁなんて思うけど、なかなか。
でも、うちのベランダから眺める空だって、悪くない。

昨日は、雨が降っていた。
雨が降ると、泣きたくなる。
雨の降る音、車の水音をさせて走る音、樋を伝い落ちるしずくの音。
ずっと眺めていたら、ふと、どうしているだろうか、と考えた。もう、逢わなくなってしまったあの人。
逢うのをやめたのは、僕のほうだ。
でも、もう逢いたくないと思っているのは彼女のほうだと、いつも思っていた。だから、逢うのをやめた。
もう、きっと彼女は、僕のことを忘れただろう。
もう、きっと、どうしているだろうなんて、考えることもないに違いない。きっと。
彼女の住む町の駅。
彼女の電話番号。
彼女のメールアドレス。
逢わなくなって、半年以上たっても、忘れることのない僕。

何も言わずに姿を消すなんて、卑怯だと彼女は言った。
なんで去るのかときいた。
君がそう望むから、と心の中でこたえた。
去るというのなら、もう二度と戻らないで、と彼女はいった。
ほんとうはどうすればよかったのだろう。どうしたかったのだろう。
今でもわからないけど、わかるのはただひとつ、もう二度と彼女と逢うことはないということだけだ。
これからさきも、何度も思うだろう。
彼女はいま、どうしているだろう、と。
 

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