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真昼の月

僕の記憶
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  • 05/05/01:43

終電

けだるい終電の中

僕はイヤホンから聴こえる
音楽に身をまかせ
半ば、眠ったような状態で
つり革をにぎっていた。

いつもと同じ
面白くもなんともない風景
時折、感じる酒臭さとおやじ臭。

少し頭痛も感じながら
僕は
はやく家に帰りつきたい気持ちで
いっぱいだった。


けれど、

何だか違和感を感じて
周りをみまわす。

僕の視界にはいったのは
僕の立つところから少し左に座った
男の子だった。

え?
なぜ、こんな時間に…。


1、2年生くらいの。

幼稚園ってこともなさそうだったけれど、
かなり小さい男の子。


その子の周りを少し見回したけれど
親と一緒、という風でもない。
離れて座ってるのかも
とも思ったけれど。

それに、僕以外の誰も
その子が目に入っている様子もない。
さほど、気にならないらしい。


僕がよっぽど驚いて見てしまっていたのか
その男の子と目があった。

あわてて、目をそらしてしまった。

そして少ししてから
もう一度、その子のほうを見る。

その子と再び、今度はしっかりと
目が合ってしまった。
その子がニコリと笑う。


僕はどういう表情をしていいかわからず、
笑ったような
困ったような
しかめ面なような
へんな顔をしていたと思う。


僕はその子がここにいる理由を
いろいろ考えた。
きっと、たまたま
こんな時間に電車に乗ることに
なったに違いないけれど、
いい理由を思いつくことは
できなかった。


その子は、僕の降りる駅の
一つ前の駅でおりていった。

降りる時、
その子がもう一度僕を見て
ニコリと笑った。
今度は、さっきよりは
僕もニコリとできたような気がした。


その子は
何ももっていなかった。

同じ駅で何人も大人が降りたけれど、
その中の誰も
その子の親ではなさそうだった。


何だかヘンな気持ちのまま
僕も次の駅で降りた。

 

そのあと
なんどかその男の子のことを
考えた。

あんな時間にどうしたんだろう。

なぜ、あの子は笑ったんだろう。

僕はちゃんと笑えただろうか。

 

やっぱり、
何もわからないままで、
ただ、漠然と、
あの子が今、誰かのそばにいることを
僕は、願った。

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